各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、SBI証券のデータをもとに解説。

SBI証券の投信売れ筋(販売金額)ランキングの2025年9月第4週(9月22日~26日)のトップ2は前月と同様に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」だった。第3位だった「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」は第5位に後退し、第4位だった「iFreeNEXT FANG+インデックス」が第3位に、第5位だった「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」が第4位に上がった。また、前月は第9位だった「WCM世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」が第6位にジャンプアップし、トップ10圏外から「Tracers NASDAQ100ゴールドプラス」が第9位に、「三菱UFJ純金ファンド」が第10位にランクインした。

 

「ゴールド」を上回った「ゴールドプラス」

SBI証券の売れ筋ランキングの第9位にランクインした「Tracers NASDAQ100ゴールドプラス」はパフォーマンスの点で既存の株式インデックスファンドや「ゴールドファンド」を大きく上回る成績になっている。「Tracers NASDAQ100ゴールドプラス」はファンドの仕組みとして「NASDAQ100」に連動することをめざす株式インデックスファンドを100%、そして、純金価格を映す「金先物」に100%を投資し、純資産総額の2倍程度のポジションを常に維持することをめざす。このため、2025年4月以降の株高、かつ、金価格上昇の局面では株式市場と金市場の上昇を二重に享受することができる。結果、4月上旬以降の同ファンドの上昇率は、堅調な「ゴールドファンド」、そして、価格が大きく戻した株式ファンドを大きく上回る上昇率になった。

2025年9月1カ月間で、「NY金先物」価格は10.16%上昇した。これは、「S&P500」の3.53%上昇、「NASDAQ総合」の5.61%上昇を大きく上回った。そして、年初からの上昇率は9月末までに「NY金先物」が46.66%と株式インデックスを圧倒している。「S&P500」は13.72%、「NASDAQ総合」が17.34%であり、その他の主要国では英「FTSE100」が14.41%、独「DAX」は19.95%、日本「TOPIX」が12.66%、「日経平均株価」が12.63%、香港「ハンセン指数」が33.88%、中国「上海総合指数」が15.84%、インド「SENSEX30」が2.72%という結果だ。インド株式市場を除くと主要国の株式市場は年初から15%程度の値上がり率だが、「金先物」と香港「ハンセン指数」はその2倍を超える上昇率になっている。中でも上昇率が46%超の「金先物」は突出した上昇率だ。このような金価格も株式市場も強いという環境が続けば「Tracers NASDAQ100ゴールドプラス」は相当強いパフォーマンスを残すことが期待される。