「WCM」は株式ファンドの本命になるか?
SBI証券の売れ筋ランキングの第6位に上がってきた「WCM世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」は、2025年8月末時点の分配金利回りが34.46%で毎月決算型の中で最も高い分配金利回りで注目されるファンドだが、同ファンドは「予想分配金提示型」として基準価額の水準によって分配金額を決定しているファンドであるため、基本的に基準価額が上昇し続けていること、すなわち、組み入れた銘柄の株価が上昇していることが高い分配金利回りの背景にはある。運用を担当しているWCMインベストメント・マネジメントは米国において成長株投資の運用者として評価されている運用会社だ。
同ファンドの運用方針も「参⼊障壁の持続可能性、企業文化、構造的成⻑⼒、バリュエーションなどに基づき、ボトムアップ・アプローチを通じて銘柄を厳選する」としている。この運用方針は、昨年来、投信市場で高い評価を勝ち得てきた「インベスコ 世界厳選株式オープン」と似ている。ともに日本を含む世界の株式市場から中長期的に持続的に成長することが期待できる株式に厳選投資している。
過去のパフォーマンス(分配金を払い出していないコースでトータルリターンを比較)を振り返ると「インベスコ 世界厳選株式オープン」は2022年以降に明確に全世界株式(オール・カントリー)インデックスを上回るパフォーマンスをみせていたが、「WCM世界成長株厳選ファンド」は2024年8月以降の上昇率が圧倒的だ。設定時の2021年10月13日を基準とすると、2025年9月末時点では「インベスコ 世界厳選株式オープン」を抜き去ってしまった。
現在の投信市場では株式インデックスファンドに加えて純金に投資する「ゴールドファンド」が人気だが、「ゴールド」は配当や利子収入がないため原則として分配金がない、やや例外的な投資対象だ。基本的には株式を主要な投資対象とし、さらに、インデックスファンドをしのぐパフォーマンスを実現するファンドが市場の「王様」とみなされることが多い。「WCM世界成長株厳選ファンド」は2023年まではインデックスを下回るパフォーマンスだったため、足元2年間程度のパフォーマンスが異常に優れた成績になっている。この状態をキープして本当の「王様」といえる存在になるのか、今後のパフォーマンスが注目される。
執筆/ライター・記者 徳永 浩