各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、SBI証券のデータをもとに解説。
SBI証券の投信売れ筋(販売金額)ランキングの2025年8月最終週(28日~8月1日)のトップ4は前月と同様に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」、「iFreeNEXT FANG+インデックス」だった。第5位に前月第6位の「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」が上がった。また、トップ10圏外から「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」が第6位に、「WCM世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」が第9位に、「ROBOPROファンド」が第10位にランクインした。
定番インデックスファンド人気が継続
SBI証券の売れ筋ファンドの上位を7月、8月と連続で代表的なインデックスファンドが占めた。今年4月の株価急落から急速に株式市場が持ち直し、6月下旬には「S&P500」が2月から約4カ月ぶりに史上最高値を更新し、「NASDAQ総合」も昨年12月以来6カ月ぶりの最高値更新に進んだ。その後、7月は連日のように「S&P500」も「NASDAQ総合」も史上最高値を更新し続け、その上昇勢いは8月にやや減速しているが、「S&P500」は8月下旬まで、「NASDAQ総合」は8月中旬まで史上最高値を更新している。米国株が世界の株式市場をけん引するような動きが戻ってきた。
一方、2025年の特徴は、米国株式市場のみならず、他の主要国株式市場も史上最高値を更新する好調ぶりをみせていることだ。ドイツ「DAX」は米国株が大崩れした4月に連れ安したものの、5月には史上最高値を更新。英国「FTSE100」も米国に先んじて6月12日に史上最高値を更新している。その後、「DAX」は7月上旬に史上最高値を付けた後は弱含み横ばいになっているが、「FTSE100」は8月まで連日の史上最高値更新を実現している。そして、8月には国内の「日経平均株価」が昨年7月以来13カ月ぶりに史上最高値を更新した。さらに、8月には中国の「上海総合指数」が2015年8月以来、10年ぶりの高値に進むなど新興国株も上昇していることが確認された。
このような世界的な株高がみられると「オルカン」の強さが際立つ。今年は株式市場が弱含んだ年初からずっと「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を上回る動きを続けている。ただ、2025年のインデックスファンドで最も優れた成績を残しているのは「金(ゴールド)」に連動する「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」だ。4月の株価急落時に大きく落ち込まなかったこともあって、8月末までに年初来で20%を超える上昇率になっている。これは、株式インデックスファンドの中で最も良い成績である「iFreeNEXT FANG+インデックス」の7%超を大きく上回っている。
しかし、これらインデックスファンドは、7月末あたりをピークとして基準価額が横ばいになっている。8月の売れ筋でバランス型ファンドなどが順位を上げている背景には、「株式」や「ゴールド」などの単独資産に投資するファンドの先行きに対する確信が揺らいできているのかもしれない。