老後資産を自分で作る年金制度が確定拠出年金(DC)だ。個人が自分で掛金を出す個人型(iDeCo、イデコ)と、企業が掛金を出して従業員の退職金として備える企業型DCがある。iDeCoは20~65歳未満までの国民年金加入者なら基本的に加入が可能だ。一方、企業型DCは勤め先企業に制度がないと加入できない。それぞれの掛金の上限額は2027年1月に引き上げられる予定となっている。
具体的には職業などによって異なる。自営業者は月7万5000円(現行:6万8000円、国民年金基金等との合計額)、会社員・公務員は月6万2000円(現行:5万5000円、他の企業年金やiDeCoとの合計額)、企業型DCを含め、企業年金のない会社員は月6万2000円(現行:2万3000円)を拠出できるようになる。この改正に伴い、加入者は掛金額の変更を考えているのだろうか。まずは企業型DCで個人が掛金を上乗せできる「マッチング拠出」の掛金額について見ていこう。
企業型DCのマッチング拠出、4割が「変えない」
全国5000人の金融資産の状況を分析した「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会、2025年9月公表)では確定拠出年金に加入する70歳未満の1400人に掛金上限の引き上げへの対応について聞いている。
企業型DCのマッチング拠出で従業員が自ら出す掛金は、これまでは企業が出す掛金額を超えることはできなかった。この制限が2026年4月をめどに撤廃される。この制度変更は、前述したDC制度全体の掛金上限額の引き上げより一足先に行われる予定だ。
確定拠出年金の拠出限度額の引き上げによる変更意向(企業型のマッチング拠出)
調査結果によれば、「変えない」と答えた人が40.8%と最も多かった。「増やす」と回答した人は11.8%、「減らす」と回答した人はわずか1.8%だった。また、「マッチング拠出がない・加入していない」という回答が33.1%を占めるように、そもそもマッチング拠出を採用していない企業もある。
●前編「「年金を上乗せしたい…」確定拠出年金(DC)に入っている人はどのくらいいる? 掛金はいくら? ボリュームゾーンを探る」

