収入が多い人ほど金融資産は多い?
個人投資家といっても投資だけで生活している人はごくわずか。投資以外の仕事を抱えている兼業投資家がほとんどだろう。収入が多ければ、一般的に金融資産も多いだろうし、株や投資信託など価格変動リスクがある有価証券を購入する場合の心理的なハードルも低いかもしれない。果たして収入によって保有額にどの程度の差がつくのか。個人投資家5000人を対象とした調査「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会、2025年9月公表)をもとに解説しよう。
最初に個人投資家が持つ金融資産額(全体)から見ていこう。
金融資産の保有額ランキング(全体)
1位 1000万~3000万円未満 25.8%
2位 500万~1000万円未満 15.8%
3位 100万~300万円未満 12.4%
4位 300万~500万円未満 11.8%
5位 5000万円以上 10.6%
6位 3000万~5000万円未満 9.3%
7位 50万~100万円未満 6.1%
8位 10万円未満 4.3%
9位 10万~50万円未満 4.0%
出所:「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会)よりFinasee編集部作成
調査結果によれば、回答率1位は「1000万~3000万円未満」(25.8%)。2位は「500万~1000万円未満」(15.8%)、3位は「100万~300万円未満」(12.4%)と続く。各年収帯では何か特徴はあるのだろうか。
金融商品の保有額(個人:年収別)
出所:「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会)よりFinasee編集部作成
まず年収300万円未満。最多回答の金額も全体より小さいと思いきや、結果は「1000万~3000万円未満」が1位。割合も23.8%と全体(25.8%)に比べてほぼ遜色ない水準だ。さらに2位と3位も全体と同じく「500万~1000万円未満」「100万~300万円未満」と続く。意外に上位は全体と変わらないのだ。以降の年収300万~500万円未満、年収500万~700万円未満、年収700万~1000万円未満でも最多回答は「1000万~3000万円未満」を踏襲している。
一方で年収が増えるに従い、急速に存在感を増すのが最も金額が大きい選択肢である「5000万円以上」で、年収700万~1000万円未満では割合が15%と3位に浮上する。そして均衡が破れるのが年収1000万円以上。「5000万円以上」の割合は32.5%に達し、ついに回答率でも1位となる。このように年収が上がっても途中までは最多回答の金額は変わらないものの、年収700万円を超えるあたりから多額の金融資産を持つ人の割合が急増する傾向が見られた。
●年収1000万円以上ともなると多額の金融資産を持っているのか。前編「【投資家・年収1000万円以上】金融資産保有額ランキング 半数以上が「老後2000万円問題」をクリア!?」で詳しく解説している。

