各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、大和証券のデータ(週次)をもとに解説。

大和証券の投信売れ筋ランキングの2025年11月のトップは、3カ月連続で「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」(設定はピクテ・ジャパン)だった。第2位には前月第3位だった「ニュートン・パワー・イノベーション・ファンド(為替ヘッジなし)」(三井住友DSアセットマネジメント)が上がり、第3位は前月第4位の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Bコース(為替ヘッジなし)」(アライアンス・バーンスタイン)、第4位には前月第8位の「ROBOPROファンド」(SBI岡三アセットマネジメント)が上がった。前月第2位だった「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」(フィデリティ投信)は第5位に後退した。また、第8位にトップ10圏外から「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(年1回決算型)」(インベスコ・アセット・マネジメント)がランクインした。

トップ独走「ピクテ・ゴールド」の行方は?

大和証券の売れ筋(ダイワのオンライントレード買付金額(総合)ランキング)でトップを続けている「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」だが、販売会社によっては11月に純金(ゴールド)関連ファンドが売れ筋ランクを大きく落としたところもある。ただ、実際のパフォーマンスでは依然として高値を維持している。純金(ゴールド)価格が上昇している要因の1つに、世界的な「カネ余り」が数えられるが、12月5日に純金(ゴールド)需要が大きいインドが利下げを実施し、米国も9日~10日に開催されるFOMCで利下げすることが確実視され、この流れが後押ししていると思われる。日本を除く主要国では金融緩和方向に金融政策が動いていることもあって、これまで勢いよく上昇してきた純金(ゴールド)価格を支える要因になっている。ただ、欧州は利下げの動きは一巡したといわれ、インド、米国も、今回の利下げ以降の金融政策の行方は不透明だ。

純金価格は2000年に1トロイオンスあたり400米ドル程度だったのが、2025年には4000米ドルを超えている。5年で10倍になった。同じ期間に10米ドル以下だった株価が200米ドル近くまで上昇したAI半導体を設計するエヌビディアの株価は20倍ということになるが、純金の価値はエヌビディアの業績予想のように変動するものではない。かつて経験したことがないような上昇を演じた金価格には、何かのきっかけで上昇波が一気に逆転するような崩落の可能性も指摘される。持ち続けるべきか、利益を確定すべきか、その判断が交錯するところだろう。長期の資産形成を考える場合、株式とは価格の動きが異なる純金(ゴールド)は、資産の一部として保有し続ける方が良いというアドバイスもある。投資資金の性格によっても判断に違いは出てきそうだ。