各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、野村證券のデータをもとに解説。
野村證券の投信売れ筋ランキング2025年11月のトップ2は前月と同様に「野村インデックスファンド・日経225(愛称:Funds-i 日経225)」(設定は野村アセットマネジメント)、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」(フィデリティ投信)だった。第3位は前月の第6位から「eMAXIS 日経225インデックス」(三菱UFJアセットマネジメント)が上がり、「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」(野村アセットマネジメント)も第5位に上がった。また、新設ファンドの「野村日本バリュー厳選投資」(野村アセットマネジメント)が第6位にランクインした。一方、前月は第3位だった「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」(ピクテ・ジャパン)は第8位に後退した。
新ファンド「日本バリュー厳選投資」がトップ10入り
11月の売れ筋で前月に続いてトップに立った「野村インデックスファンド・日経225(愛称:Funds-i 日経225)」、また、前月の第6位から第3位に上がった「eMAXIS 日経225インデックス」など、国内株式について強気の見方をする投資家が増えている。その流れを一段と明確にしたのが、10月22日に新規設定された「野村日本バリュー厳選投資」が売れ筋ランキングで第6位にランクインしたことだ。
「野村日本バリュー厳選投資」は、「実力のある『強い』企業を『安く』買う」ことを運用哲学とし、実力があるにもかかわらず市場で過小評価されている企業に厳選投資するファンドだ。投資銘柄の選定には、定量分析による割安性評価と定性分析による実力評価を組み合わせて判断する。2025年10月22日の設定後のポートフォリオの組み入れ上位10銘柄は、「トヨタ自動車」「三井住友フィナンシャルグループ」「東京エレクトロン」「丸紅」「フジクラ」「日立製作所」「東日本旅客鉄道」「KOKUSAI ELECTRIC」「住友不動産」「TDK」となっており、わが国を代表するような大型株でポートフォリオを作っている。
日経平均株価が5万円台に乗せてなお株価上昇期待が高い背景には、2023年3月に東京証券取引所(東証)が上場企業に資本コストと株価を意識した経営改革を求めて以来、資本を成長投資に振り向けて将来の利益成長を目指す計画や自社株買いや増配などを通じて使わない資本を積極的に株主還元することなどでROE(株主資本利益率)を高める動きが強まったことがある。
ROEが高まることは、投資家にとって投資する価値が高まることであり、東証の狙いも国内企業の投資価値を高めることで、海外の投資家も含む幅広い投資家から投資資金を東証に呼び込もうというものだったろう。結果的に、2023年3月に2万7000円~2万8000円だった日経平均株価は2025年に5万円の大台を超えるまで上昇した。
「野村日本バリュー厳選投資」は、2023年3月以来の東証の改革によって国内株式の魅力が向上し、その向上した魅力を株価がまだ十分に評価していないこと、また、国内企業が一段の魅力向上に向けた努力を続けることによって、国内株価も一段と上昇することを見通している。同ファンドでは運用担当者からのメッセージとして、世界の主要株価指数はROEが高いほどPBR(株価純資産倍率)も高くなる傾向にあるという事実を示しつつ「TOPIX(東証株価指数)のROEは東証の要請があった2023年3月末時点の8.1%から2025年9月末時点には8.8%と徐々に上昇しています。引き続き企業のROEが改善し、それが日本株の市場評価向上につながっていくと期待されます」としている。

