投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、ゆうちょ銀行・郵便局。

ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋(販売金額・1カ月)の2026年1月のトップは「iFree S&P500インデックス」になった。11月のトップだった「大和ストックインデックス225ファンド」は第2位に後退し、11月は第5位だった「つみたて全世界株式」が第3位に上がった。「つみたて日本株式(TOPIX)」は11月の第3位から第4位に下がるなど、国内株インデックスファンドが後退し、外国株インデックスファンドが順位を上げた。第6位以下のバランス型ファンドでは、「JP4資産バランスファンド 成長コース」が11月の第9位から第7位に上がるなど、株式などリスク資産に多く資産配分し、積極的にリスクを取るタイプのファンドが人気になった。

※ゆうちょ銀行サイトの「ファンドランキング」の「販売金額」(1カ月)に基づき編集部作成。期間:2026年1月1日~1月31日。
https://qw159.qhit.net/jp-bank.japanpost.jp/qsearch.exe?F=tp/fundRanking
 

年替わりでNISA投資枠の開放、成長投資枠で「S&P500」に流入か

ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋ランキングでは、長らく上位を外国株インデックスファンドが占めていた。2024年5月以降は大和アセットマネジメントが設定する「iFree S&P500インデックス」がトップに定着し(2025年5月だけは期間限定販売だった「HSBCグローバル・ターゲット利回り債券ファンド2025-05(限定追加型)」(HSBCアセットマネジメント)がトップ)、それに続いたのは三菱UFJアセットマネジメントが設定する「つみたて先進国株式」や「つみたて全世界株式」などの外国株インデックスファンドだった。それが、2025年11月に大和アセットの「大和ストックインデックス225ファンド」がトップに立った。2025年の運用実績が「iFree S&P500インデックス」よりも優れていたことを評価する動きと考えられたが、それはわずか1カ月のことで2025年12月から再び「iFree S&P500インデックス」がトップに返り咲いている。

2026年1月の1カ月間のパフォーマンス(トータルリターン)を調べると、「iFree S&P500インデックス」はマイナス0.91%で、「大和ストックインデックス225ファンド」の方が5.90%と優れた成績になっている。運用成績を評価するのであれば「大和ストックインデックス225ファンド」の方に人気が回ってもおかしくない成績だった。2024年までは米国株をはじめとした外国株ファンドのパフォーマンスが圧倒的に優れていたという実績があるため、国内投資家の身に沁みついた投資行動として「為替ヘッジなしの外国株ファンド」に対する支持が異様に強い。特に、1月はNISA(非課税投資枠)がリセットされ、成長投資枠(年間240万円)、つみたて投資枠(月額10万円)が使えるようになる。これまで右肩上がりの相場が続いてきたこともあって、成長投資枠をその年の早い段階で消費してしまいたいと考える投資家が多いこともあって、過去の成功体験に引きずられた投資行動が目立つ。

しかし、2025年以降の世界の株式市場の動きは、米国の大型テクノロジー株がけん引する2024年までの相場とは大きく異なってきている。特に、2026年に顕在化してきたのは、世界経済の巨大な成長エンジンと目されてきたAIが、既存のビジネスを劣化させる可能性があることへの警戒感だ。1月には企業向けにカスタムメイドのプログラムを提供しているソフトウエア会社や、資産運用・税務コンサルを提供する銀行がAIによって仕事を奪われる可能性が高いとみられ株価が下落した。2月になって米国最高裁がトランプ政権の相互関税を違法と判断したことで、政策の先行きに不透明感が強まったことも米国株式のセンチメントを悪化させている。

これまで「米国株」や米国株が65%を占める「全世界株(オール・カントリー)」は、「米国例外主義」といわれるほど突出した米国株の強さを背景に「『S&P500』(または、「全世界株(オール・カントリー)」)だけを持っていれば大丈夫」と考えられてきた。米国株のPER(株価収益率)が他国より高いのは米国が特別だからと容認されてきた。ところが、「米国が特別ではない」という見方、あるいは、米国が主導するAIが万能の成長エンジンではないという考え方が広がれば、割高な米国を買い続ける理由がなくなる。実際に世界のマネーフローでは米国よりも割安な欧州、日本、アジアなど新興国を見直す動きが出始め、2025年は欧州や日本の株価が米国株以上に上昇した。