各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、松井証券のデータをもとに解説。

松井証券の投信売れ筋ランキングの2025年8月のトップ2は6月と同様に「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」(愛称:世界のベスト)、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)だった。第3位にはトップ10圏外から「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」がジャンプアップしてランクイン。第3位だった「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」は第4位に後退し、第4位だった「三菱UFJ純金ファンド」は第10位にまで下がった。6月に第6位だった「ROBOPROファンド」は第8位に後退したものの、第8位だった「WCM世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」は第6位に上昇し、「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」は第9位にとどまった。

定番ファンドから人気を奪う新ファンドの台頭

松井証券の売れ筋トップ10には、「オルカン」や「eMAXIS Slim 株式株式(S&P500)」や「iFreeNEXT FANG+インデックス」などの定番インデックスファンドや「世界のベスト」のような売れ筋常連のアクティブファンドではない、ユニークなアクティブファンドがランクインしている。「WCM 世界成長株厳選ファンド」、「ROBOPROファンド」、「東京海上・宇宙関連株式ファンド」などは、それぞれユニークな特徴があるファンドといえ、今後の主役になってもおかしくない魅力がある。このような新しいファンドが台頭してきたのは、2020年3月のコロナショック以降に米国テクノロジー株主導で値上がりしてきた世界の株式市場が、5年目になって転換期を迎えていることの現れなのかもしれない。

これら新しいファンドのパフォーマンスは、2025年になって「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」よりも高い成績を残している「オルカン」を、いずれも上回っている。年初来の基準価額(分配金込み)の上昇率は、「東京海上・宇宙関連株式ファンド」が最も高く27.53%、「WCM 世界成長株厳選ファンド」は19.99%、バランス型の「ROBOPROファンド」も9.65%だ。「オルカン」の5.56%をいずれも大きく上回っている。この成績の差が定着するものであれば、これら新しいファンドの評価は一段と高まるものになっていこう。