積み立てる頻度は「毎月」よりも「毎日」にした方が良い?

「株式市場が不安定に推移する中、基準価額が日々上下しているので、積立の頻度を『毎月』ではなく『毎日』にした方がお得ではないかと思っています。やはり、月1回よりも回数を増やした方が分散効果はあるのでしょうか?」

回答:積立投資の購入頻度を増やしても、平均買付単価を引き下げる効果は限定的で、最終的なリターンに大きな差は生まれないので……「気持ちの問題」です!

一見すると、積み立てる頻度を増やした方が、より時間分散効果が高まるように感じられますが、現実にはリターンに大きな差は生まれません。そのカラクリは、積立投資における平均買付単価が、一般的な算術平均ではなく、「調和平均」によって求められるという点にあります。

ここからは少々専門的になるので、興味のある方だけ読み進めてください。

「調和平均」とは、いわゆる「平均」の一種で、往復の平均速度などを算出する際に用います。一般的な算術平均が、対象となるデータ値を足してデータ数で割るのに対し、調和平均は、対象となるデータの逆数を足してデータ数で割り、さらにその逆数を取るという方法で算出されます。投資信託の基準価額は、「1万口あたりの評価額」なので、平均買付単価を求める際は、算術平均ではなく、この調和平均を使います。
例えば、1万口あたりの基準価額が当月1万円、翌月1万3000円、翌々月1万2000円の投資信託を積み立てた場合、平均買付単価は、いわゆる一般的な算術平均(対象となるデータ値を足してデータ数で割る)の1万1667円ではなく、1万1527円になります。
調和平均には、算術平均よりも値が小さくなるという特徴があるほか、データ数が多くても、そのデータ群の散らばり度合によっては、一定の値に収束するという性質があります。投資信託の基準価額は不規則に変動するため、購入回数を増やしても、平均買付単価にさほど影響が表れないのです。

「毎日積立」を選ぶこと自体を否定はしませんが、投資効果に過度な期待をしないこと。あくまでも、「気持ちの問題」程度に思っておいたほうが良いでしょう。