SNSやネットの「オルカン推し」は妥当なのか

数あるインデックスファンドの中でも、「オルカン」こと「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」をはじめとする「全世界株式インデックス」に連動する商品は、今やすっかり個人投資家の間で定着した。SNSやネット上を含むさまざまなメディアでも、「新NISAは『オルカン』1本でOK」、「金融のプロが選ぶ商品はコレ」といった具合に、「オルカン推し」のキャッチーなメッセージが次から次へと発信されている。

ファンドアナリストとしての筆者の見解を先に申し上げておくと、「オルカン」含め、「全世界株式インデックスファンド」は使い勝手の良い商品ではあるが、決して万能ではない。服に例えるなら無地の白いTシャツやブラウスといったところか。あくまでも、最初の1本として提案するには無難で、万人受けする商品と表現した方が的確かもしれない。

そこでここからは、「全世界株式インデックスファンド」の特徴や注意点について今一度冷静に確認するとともに、同タイプのファンド1本でもよいケースとそうでないケースについて解説していく。

「全世界」といっても、そのうち6割は米国に集中している

まず、「全世界株式インデックス」とは、文字通り、新興国を含む世界の投資可能地域を概ね網羅した指数である。最もメジャーなのは、米モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)社が算出するMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスで、All Country World Indexの頭文字を取ってACWI(読み:アクウィー)と呼ばれている。もう1つは、英国に拠点を置くFTSE(読み:フッツィー)インターナショナル社が算出するFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスである。MSCIが大型株と中型株を対象としているのに対し、FTSEは小型株も対象としている。このため、FTSEの方が構成銘柄数こそ約9000と多いが、構成国や肝心のパフォーマンスに大きな差はない。

具体的な国別の上位構成比を見てみると、いずれの指数も、米国60%、日本6%、英国4%、中国3%程度と、米国に大きく偏っている。これが、1点目の注意点である。

「全世界株式インデックス」に限らず、指数というのは基本的に、現在の市場規模を反映している。将来予測が入り込む余地はないため、例えば、5年後、10年後の上昇が期待される地域や銘柄を重点的に取り入れることはできない。反対に、将来性に疑問符が付く投資先をあらかじめ排除することもできない。

最近は、新興国の有望な投資先としてインドに注目が集まっているが、「全世界株式インデックス」におけるインドの組み入れはわずか2%程度である。もし、将来の成長に期待して、インドをはじめとする有望な投資先を今のうちに取り入れておきたいなら、別途追加するなどの工夫が必要だ。