株価の底値買いは「仕込み損」のリスクが高い
底値とは、一定期間中の一番低い株価をあらわす。一時的に株価が安い状態である優良銘柄を探して買い、値上がり益を狙うのが「底値買い」の基本戦略だ。このことから、株価の下落相場を「仕込みどき」と捉える投資家もいる。
しかし、「ナンピン買い」と同様、初心者は以下の3つの理由からあまり手を出さない方がよい投資方法といえる。
1つ目の理由は、「十分な値上がり益を得られない危険性がある」からだ。
株価が下落している最中に、どこが底値になるかは誰にも分からない。また、株価が大幅に下がっている最中は、機関投資家などがまさに売却中である可能性が高い。そのような時に、資金量に劣る個人投資家がいくら購入しても下落は止まらない。その結果、仕込んだ株を損切りする必要が出てきたり、塩漬けになってしまったりするリスクがあるのだ。
2つ目の理由は、「さらに損失を広げてしまう可能性がある」からだ。
リーマンショックやコロナショックなど、世界的な株価暴落時は相場の値動きが普段以上に激しくなる。とくに初心者は動揺も相まって適切なタイミングで損切りできず、損失を広げてしまう可能性が高まる。さらに、急な下落相場で冷静さを失い、信用取引などハイリスクな売買や、普段の売買ルールとは異なる取引をしてしまうことも。
3つ目の理由は、「下落している銘柄は旬を過ぎていることが多い」からだ。
株価が下落し続けることには理由がある。株価が下落するのは株主の売りが増えているためであり、背景には業績不振なども考えられる。また、投資家にとってその銘柄が旬を過ぎていることもある。たとえば、2022年の東証プライム市場での下落銘柄ワースト30の多くは、「グロース」と呼ばれる今後成長が期待できると見込まれた企業や、勢いのあった新興企業の小型株が占める。相場全体からの期待が落ち込んだ銘柄は、なかなか上昇に転じることが難しいのだ。