みんなで決めた新たな施策
それから、香織は店が休業している間、他の商店街の人たちと連携をして外国人観光客の人たちにどう対応していくかを協議した。中には排除するような声もあがったが、商店街全体としては潤うようになっていて、この流れをできるだけ継続していこうという考えの人が多かった。
話し合いの結果、京都市などが行っていた多言語でのマナーや注意喚起のポスターを作成し、商店街の至る所に貼ることが決まった。さらに商店街のSNSを作り、そこでも画像や動画、文章などでゴミ捨ての場所や禁止行為などを発信していった。その結果、徐々にではあるが迷惑行為は減っていき、ゴミもきちんとした場所に捨ててくれるようになった。
香織はその効果を茂人に報告をした。
「多田さんたちもね、本当にびっくりしてるのよ。まさかこんなに効果があるとは思わなかったって」
「いや確かに。俺もそんな違うんだって思ってるよ」
「なんか外国の人たちって我が強くて言うことを聞かないみたいなイメージがあるけど、ちゃんとこちらの意図を伝えればわかり合えるのよ。それがわかってとっても嬉しいわ」
香織の言葉を聞いて茂人は微笑む。
「そうか……。忙しかったし、言葉も通じないから、ちゃんとコミュニケーションも取れなかったからな」
「そうそう。でもきちんと相手方のことを理解したら、どんな国の人とでもわかり合えるのよ。ほら、私が前に韓国の観光客の人にすごく怒られたことがあったでしょ?」
茂人は軽く頷く。
「ああ、覚えてるよ。すごい剣幕だったからな」
「今回ね、ポスターを作るにあたっていろんな国の言語とか文化を調べていたの。そうしたら韓国って目を見ながら話すっていうのが失礼になるって分かったの。あのとき私は何を言ってるのかくみ取ろうと思ってしっかりと顔を見て話を聞いてたから、それが癇に障ったみたいなの」
香織の話に茂人は目を丸くする。
「へえ、そういうのがあるのか」
「ちゃんとそういう文化を理解した上で接すれば問題ないわ。これからも私はいろんな国のことを勉強していこうと思う。言葉を学ぶのは時間かかるけど文化ならすぐに理解できるからね」
「そうだな。俺も復帰する前に頭に入れておこうか」
休業して初めて茂人から仕事に対する前向きな言葉が聞けた。
香織は嬉しい気持ちで賛同する。
「そうよ。知識があればわかり合えるわ。だって同じ人間なんだから」
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
