<前編のあらすじ>
商店街で団子屋を営む香織と夫・茂人。インフルエンサーがSNSで店を紹介したことで半年前から外国人観光客が急増し、激務に追われていた。
さらに向かいの土産物屋から「店内で団子を食べる客がいて迷惑だ」とクレームを受けるなど、香織は周囲に平謝りするしかなかった。
限界を迎えた生活の中、厨房から大きな物音が響く。駆けつけた香織が目にしたのは、床に倒れて動かない茂人の姿だった。
●前編【インフルエンサーの動画1本で外国人観光客が殺到…地元民に愛されてきた団子屋夫婦を襲った「オーバーツーリズムの現実」】
茂人の診断結果
病院に搬送された茂人は診察の結果、頭を打ったりはしていなかったものの、過労とストレスからくる自律神経失調症だと診断された。
命に別状があるわけではないと聞かされて香織は胸をなで下ろしたものの、しばらく店を開くのは難しそうだった。
「……すまんな。迷惑をかけて」
香織は首を横に振る。
「いいえ、あなたがずっと無理してたのは知ってたから。もっと前にきちんとお休みを作らないといけなかったわね」
「……店はどうする?」
「お医者さんが言うには1カ月くらいはお休みをしたほうがいいって言ってたから、その間は店を閉めようと思う」
香織の説明を聞き、茂人は目を閉じて頷く。香織には茂人が少し安堵しているように見えた。
「……悪いな、回復したらまた頑張るから」
「気にしないでいいのよ。売上がかなりあるから1カ月くらいお休みしても金銭的に問題はないから。2人でゆっくりとお休みをしましょう」
こうして店は1カ月の間、臨時休業をすることになった。
香織としても体を休められる良い機会となったのだが、精神的には全く休めてはいなかった。1カ月後に店を再開したとしても同じ状況が続けばまた香織か茂人のどちらかが倒れてしまう。今回のことだってたまたま茂人のほうが先だったというだけの話だ。
休んでいる今のうちになんとかして改善策を考えないといけなかった。
