遺言書があれば防げた家族の悲劇

現在、昭は弟の敬と一緒に実家で暮らしている。敬はパートも辞め、ひたすらひきこもっているという。もちろん生活費を出しているのは昭だ。

「もう疲れたんだ。他人からすればおかしいかもしれないけれど、もう俺はこうしているのが一番楽」

すべてを諦め、うつろな目で私に現状を語る昭。彼を見て私は思う。せめて遺言書で相続についてだけでも決められていれば、未来は変わっていたかもしれない。あるいは敬も人生を見つめ直し、今とは違って更生していたかもしれない。

昭の経験を踏まえ、私は強く伝えたい。遺言書は絶対に作るべきである。そこで相続分を指定し、残される家族に励ましや、お願いの一言でもつけてやるべきなのだ。

人の死はいつ訪れるか分からない。もし自分の死後、家族に気になる人がいるのであれば、必ず遺言を残しておくべきだ。そうすることが、大切な家族を守り、不幸な人を1人でも生まないようにする数少ない手立てなのだから。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。