高報酬で働き続ける人が知るべき計算の仕組み

友行さんの65歳時点での報酬比例部分は月12万円でした。65歳以降厚生年金の加入を続け厚生年金保険料を掛けるとその分、毎年老齢厚生年金の額が増えることにはなります(在職定時改定)。65歳時点で12万円だった報酬比例部分の年金が仮に13万円まで増えていたとします。友行さんが68歳を迎えている2029年9月時点で、年金の13万円と新しい標準報酬月額75万円の合計で88万円。停止の基準額62万円で計算すると、62万円を26万円上回っていることになり、その2分の1である13万円が支給停止になる計算です。つまり、この場合、ちょうど全額支給停止となります。

実際にその時になってみないと正確な支給停止額は明らかにはならないところもあり、全額支給停止にならないこともあり得ますが、標準報酬月額の上限が65万円のままだった場合よりも停止額が増えるのは明らかでしょう。

以上のように、引き続き高報酬、高給取りの場合は支給停止が多く発生することもあります。2025年に成立した年金制度改正法は様々な改正点が含まれています。在職老齢年金制度のほか標準報酬月額の上限の改正も理解しておきましょう。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。