<前編のあらすじ>
吉岡さん(仮名・44歳)は「老後への不安は、やはりこの先、孤独とどう向き合うかです」「ふとした瞬間、孤独を感じることが多々あります」と率直に語ります。
幼少期から人との関係を築くことが苦手だった吉岡さんは、一度は婚活に励むも結婚を諦め、1人で生きる決意を固めます。しかし、外食時に家族連れの幸せそうな光景を目にするたび複雑な心境になり、独身生活の制約を痛感。
長男として、糖尿病を患う両親の介護という重い責任も背負っており、1人で病気の両親を支えていくことへの負担も感じています。
●前編:【44歳独身男性「友人もおらず親以外との関わりがない」結婚を諦め向き合う孤独な現実】
1人では踏み出せない、住居に関する重大決断
「現在、亡くなった祖父母の一軒家に、家の管理を兼ねて1人で住んでいます。築70年以上の古い家で、雨漏りや外壁が崩れるといった問題も生じており、このまま一生は住み続けられません」
「解体するにしても費用がかかります。僻地なので、取り壊した後に売却できる保証もありません」
吉岡さんは最近、家の名義を自分に移したこともあり、より一層の責任を感じているようです。同時に経済的な問題も重くのしかかっています。ただ、こうした身動きが取れない状況の中、吉岡さんが最も切実に感じているのは、“重要な決断を1人で下さなければならない”という孤独感だと話します。
「こんな時、誰かパートナーがいれば、どこかに部屋を借りるなり家を建てるなどの決断ができるのでしょうが……独り身だとなかなか前に踏み出せない状況です。自分の意思で独り身を選んだのに、ふとした瞬間に、その決意が揺らぐことがあります。自分の選択は正しかったのか、自問自答の日々です」
吉岡さんの言葉からは、単に住む場所の問題だけでなく、人生の重要な選択を共有できる相手がいないことの負担感が伝わってきます。1人での決断には責任が伴うため、なかなか踏み出せないという心境は、共感できる方も多いのではないでしょうか。