九州地方在住の中村和子さん(仮名、50代)は結婚30年を迎え、子どもたちが独立した今、夫との二人暮らしを送っています。しかし静かな生活の中、ふと届いた「ねんきん定期便」が、将来への不安の引き金となりました。
夫の年金見込み額を見て、思わず息をのんだ中村さん。パート勤務が長かった自身の年金はさらに少なく、老後の生活が成り立つのか心配です。さらに、独身の娘の将来も気がかり。そんな中、夫から思いがけない「夢」が語られ……。
老後への不安と向き合いながらも、新たな希望を見出した中村さんの体験談を紹介します。
ねんきん定期便を見て将来への不安が押し寄せる
私たち夫婦は結婚30年目を迎えました。子どもたちは独立し、今は夫と2人で静かな暮らしを送っています。そんな中、50代半ばになり、老後への不安が徐々に大きくなってきたのです。
きっかけは届いた「ねんきん定期便」でした。夫の年金見込み額を見た瞬間、思わず息をのんでしまいました。
「これだけで生活していけるのかしら……?」
私自身は長年パート勤務だったので、自分の年金額はさらに心もとないものです。夫婦2人の暮らしだけでも不安なのに、もう1つ気がかりなことがありました。それは独身の娘の将来です。
娘は30代半ば。仕事は順調で、忙しいながらも充実した日々を送っているように見えます。それでも親としては「この先、娘が一人だったら寂しい思いをするのでは?」という不安が消えません。私たちが元気なうちはいいのですが、もしものことがあったら……。そんな思いが、夜中にふと頭をよぎることがあります。
「結婚する気はないの?」なんて言葉を、無意識に飲み込むことも増えました。本人が納得しているならそれでいい。そう思う一方で、将来の娘の孤独を想像しては胸が締め付けられるのです。