関東地方在住の主婦・飯田華さん(仮名、54歳)には、老後に実現したいささやかで温かい夢があります。それは、自宅の一室を開放して地域の人たちが自由に絵本を読める空間を提供することです。
しかし、子どもの将来や自身の体の不調、そして将来の年金問題など、現実的な不安が心をよぎることも少なくありません。そんな飯田さんの不安を和らげ、前を向く力を与えてくれたのは、90歳と95歳になるご両親の生き方でした。
人生をいつまでも謳歌するためのヒントが得られる、飯田さんの貴重な体験談を紹介します。
大人になって再認識した絵本の魅力
私は和書洋書を問わず絵本が大好きで、手元にはざっと数えても400冊くらいはあります。
未だに増え続ける絵本を見ては、家族も呆れ顔。「この本、どうするの?」と度々聞かれます。
私にとって絵本は「心の栄養」であり、なくてはならない大切なものです。やさしい語り掛け、愛らしい挿絵……ページをめくるたびに心がほっこり癒されます。
不思議なもので、子供時代よりも大人になった今の方が、絵本の魅力に気づかされます。読むたびに心が洗われ、愛や真心、純真さなど、目には見えない大事なことを教えてもらっている気がするのです。
そんな魅力あふれる絵本を、自分の本棚にだけ置いておくのはもったいない。多くの人に見せてあげたいという気持ちが、年を追うごとに募っていきました。