夢は絵本空間の実現、誰もが絵本を楽しめる場所に
そんな思いを抱いていた時、児童文学作家の松谷みよ子さんが、生前ご自宅で私設図書館「本と人形の家」を子どもたちに開放されていたことを知りました。「素晴らしいな。私もいつかやりたいな」と、漠然とした憧れを持ちました。
また、私の祖母の家の隣にあった児童館のことも思い出します。そこは係の人も受付もなく、ただ靴箱の上に大学ノートが置いてあり、そこに利用時間と名前、電話番号を書くだけで気軽に利用できる場所でした。図書室には日本昔ばなしシリーズをはじめ、仕掛け絵本や図鑑など普段目にしない本がたくさんあり、私の世界を広げてくれました。
今でも私の良き思い出の場所であるあの児童館のように、今度は私が、子供も大人も楽しめる「絵本空間」を提供したいと夢見るようになったのです。
「人生100年時代」健康面や老後資金に不安
ですが、現実は甘くありません。私は現在54歳で、中学2年生と高校3年生の子がいます。まだまだ自分の老後を考えるよりも、子ども2人の将来に焦点が当たっている毎日です。
それに加え、私自身の体の不調だけは、毎年足し算のように増えていっています。「人生100年時代」と言われても、どこかひと事。どう頑張ってもこの体がそこまでもつとは思えません。
ニュース等で、将来年金の受給開始年齢が引き上げられる可能性もあると聞くたびに、「大丈夫なのかな? 生活できるのかな?」と我が家の乏しい貯金通帳の残高を眺めては、不安を覚えるのです。
●夢を抱きながらも現実的な視点で自身の老後を見つめる飯田さん。ところが、90代の両親の生き方を見て考え方が大きく変わることになります。後編【90代でも太極拳や野菜作りを満喫…将来への理想と現実の差に悩む54歳主婦が、両親に見出した希望】で詳説します。