将来の改正で加算額も増える

遺族基礎年金として、卓斗さんには年間139万円ほど支給されることになりましたが、2028年4月から、改正によって子の加算額が増えることになります。現行制度上は、2人目までの加算は1人あたり24万円程度で、3人目以降は1人あたり8万円弱となります。しかし、2028年4月以降は子どもの数に関係なく、1人あたり28万7100円(2025年度の額で計算した場合)支給される計算です。つまり、3人分で86万円程度加算を受けることができ、改正後も変更がない基本額83万1700円(2025年度の額で計算した場合)と合計すると、年間169万円程度になります。つまり、現行制度より30万円程度多い計算です。卓斗さんは「稜が中学に上がる頃に加算が増えるのか、ありがたいな」と思うようになります。

さらに、職員より「お子さんが1人18歳年度末(高校卒業)を迎えるごとに、子の加算額は1人分減り、1番下の耀太さんが高校を卒業すると、遺族基礎年金そのものがなくなる流れになります」との説明も受け、将来の収入の見通しも立てられるようになりました。

遺族基礎年金は遺族が亡くなった人に生計維持されていることが条件となっていますが、それは扶養の認定とは異なる条件となります。亡くなったことにより遺族の生活が急激に変わることにもなる中、たとえ扶養に入っている人が亡くなっても、亡くなった人より遺族の年収が圧倒的に高くても、必要な支給要件さえ満たせば支給されるようになり、その後の生活が保障されることになるでしょう。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。