数日後に届いた「事故物件扱い」の通告
事件でもなく、孤独死と言ってもごく短時間での発見。加えて遺体の損傷や異臭もなかった。人が亡くなった部屋だということは言われなければ誰も分からない。それどころか家具を片付けてしまえば、直前まで人が住んでいたことすら信じられないほどきれいな部屋だった。
それにもかかわらず不満を感じる者がいた。大家の住吉さん(仮名)だ。
そして住吉さんから信じられない連絡が入る。里見さんが葬儀を終え、やっと気持ちが落ち着いてきた頃だ。
「親御さんが部屋で亡くなったことでうちの物件は事故物件になってしまった。すでに周りで噂になっているので、次の借り手が見つからず損害が出ている。損害賠償を求めます」
早口でまくし立てるような住吉さんの言葉に里見さんは動揺した。それゆえ何も言えず、どのように電話を切ったのかは細部まではっきりと覚えていないという。
当時の心境について「母はただ静かに亡くなっただけなのに、どうして事故物件扱いされるのか……納得できませんでした」と彼女は語る。
後日届いた請求書に記載された請求金額は1年分の家賃に相当する約100万円。どうしていいか分からず、彼女は私の事務所へ飛び込みで相談に来た。
「助けてください。今、大金を請求されているんです」
まずは落ち着いてこれまでの経緯を聞き、対応を考えることにした。
●母を失った悲しみの中で理不尽な請求に打ちのめされた里見さん。しかし、彼女は諦めませんでした。後編【親亡き後に娘が巻き込まれた“事故物件”トラブルの衝撃…100万円請求から見事逆転した方法は】で勇気ある闘いの結末をお届けします。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。