星野優花さん(仮名)は地方の市役所に勤務して3年目になる公務員。企業の研究職志望で地元の国立大学の院を出ましたが、夢は叶わず、実家に戻って出身地の市役所に勤務することに決めました。不本意な決断の裏には、地元で工務店を経営するご両親の強い後押しがあったようです。

しかし、最初の給与明細を見て愕然としたとか。いくら地方とはいえ、院卒の星野さんでも手取りが20万円ほどしかなかったからです。貸与型の奨学金を受けていた星野さんには卒業時点で七百数十万円の“借金”があり、さらに実家に生活費を入れると、手元にはほとんど残りません。

やむなく、2年前に月収12万円の“秘密のバイト”を始めました。しかし、このお盆休みには役所の係長が偶然バイト先を訪れるアクシデントがあって危うくバイトがばれそうになり、さらに、バイトを辞めざるを得ない決定的な出来事が起きたのでした。

〈星野優花さんプロフィール〉
地方都市在住
27歳
女性
地方公務員
両親、祖母と4人家族
金融資産20万円

役所の給料だけでは苦しくバイトを始める

私は地方都市の役所に勤務しています。比較的ホワイトな部署で繁忙期を除けばほぼ定時で帰れるので、2年前から週3日、終業後にバイトをするようになりました。

私は県庁所在地にある国立大学の院を修了したのですが、学部の後半と院の時にスナックでお小遣い稼ぎをしていました。実家が工務店を経営していて現場のおじさんたちに囲まれて育ったので、客あしらいは結構得意です。カラオケ好きで歌にもちょっと自信がありました。

実家は地元の大きい建設会社の下請けで、経営が苦しいため、家には毎月10万円生活費を入れています。自分の奨学金の返済もあったので役所の給料だけではキツく、LINEでつながっていた当時のママから「じゃあ、時間がある時にうちでバイトしなよ」と誘われて働くことにしたのです。

小さなお店なのでほとんどが地元の常連さんばかり。週に数日働いたとしても役所にばれることはないだろうと高をくくっていたのです。