「やっぱり独身の若い子はいいね」

ハラスメントが横行する会社は、もし退職代行がなかったら、辞められなかったであろうケースが多々あります。

医療事務の女性は、院長から日常的にセクハラやモラハラを受けていました。背後から近づいてきては、「やっぱり独身の若い子はいいね」と彼女のからだを撫でてきます。研修に訪れていた学生にも院長はセクハラをしたそうです。学生を守れなかった佐藤さんは罪悪感に苛まれます。

さらに院長は、有休申請した職員に「やましいことがないなら、理由を言えるよね」と問い詰めたり、同僚が退職したときは「辞め方が気に喰わないから、退職金は出さない」と税理士に伝えていたようです。

ほかにも事例があります。

建築事務所に勤めている男性は、応募者の履歴書やポートフォリオを会社の全員が閲覧していたといいます。「この年齢で転職はない、頭が悪そう」「こんなデザインしかできないヤツはきっとデブだ」と嘲笑しあう環境に嫌気が差していました。このような環境ですから、辞めたいと言い出す人への風当たりは強く、退職者の机上に盛り塩する習慣まであったそうです。

警備会社勤務の40代男性は、ミスするたびにペナルティと称し、お金を取られていました。お金を払わないと妻に連絡されたり、弁護士を使って追い込まれたりするそうです。

「退職したい」と言ったら、どんな反応が返ってくるかは容易に想像できるのではないでしょうか。