自身の終活も真剣に考えるように

兄の急逝により、そらさんは言いようのない喪失感に襲われたと語ります。

「まだまだ兄と話し合いたいことはたくさんありました。思い出話をしながら、実家の片付けを進めるつもりだったのに……」

「これから私はどうするべきなのか。老後に向けて、何をどう整理すればいいのか。兄の死は、私にとって、単なる悲しみ以上に『自分の番が来るのも遠くない』という現実を突きつけてきました」と話すそらさん。

身近な人を失う体験は、人生の転換点となることが少なくありません。それまで漠然と先送りにしていた課題に向き合うきっかけとなったり、自身の人生を見つめ直す機会となったりするのです。

実際、この出来事をきっかけにそらさんも自身の終活について真剣に考えるようになったとのこと。

「子どもたちは既に独立していて、それぞれの家庭を築いています。私が亡くなった後、この荷物は誰が片付けるのだろうか? と考え始めました。兄のように、『そのうち』と先延ばしにしていたら、私が突然倒れた時、子どもたちに負担をかけることになってしまいます。そう思うと、ただ呆然としてはいられませんでした」

この思いが、そらさんが終活への覚悟を決めるきっかけとなりました。

●兄の死を乗り越え、自身の終活を意識し始めたそらさん。彼女が最初に取り組んだこととは――。後編【「人生はあっという間だよ」兄の言葉が導いた60代女性の終活、遺品整理から見えた「新たな人生の意味」】でお届けします。