Finasee読者から寄せられたさまざまな体験談を紹介する本連載。今回は「きょうだい児」がテーマです。

きょうだい児とは障害のある兄弟姉妹を持つ子どものこと。親の注意が障害のある子に向けられることが多く、きょうだい児は孤独やストレスを抱えやすい傾向があります。中には、ヤングケアラーとして障害のある兄弟姉妹の世話を担う子どもたちもいます。こうした環境にあるきょうだい児たちは、人間関係や就職、結婚、そして親の死後の面倒など、ライフステージごとに特有の課題に直面しています。

今回はきょうだい児たちの現状を知るためのきっかけとなる読者のエピソードをお届けします。

<前編のあらすじ>

子どもの頃、ヤングケアラーだった友人のつらさに気付けけなかったことを後悔していると語る進さん(50代、男性)。大人になってからもヤングケアラーを目にする機会がたびたびあり、何かできることがないかと考え始めました。「支援を受ける権利」についてもっと認識が広がることが必要だと感じています。

●前編:【「家族のための犠牲が当たり前ではない」ヤングケアラーだった友人を亡くした50代男性が社会に伝えたいメッセージ】

もう「きょうだい“児”」の年齢ではないけれど…

きょうだい児として過ごしてきた万里さんはもうすぐ30歳になる女性です。幼い頃の大変さとはまた違い、大人になってから生じた問題があるとのこと。大人になった「きょうだい児」たちにも必要なサポートが行き渡ることが望まれています。

<万里さんプロフィール>

女性、30代、関東地方在住

<投稿エピソード>

知的障害と自閉症がある兄を持つ私は、世間からいわゆる「きょうだい児」と呼ばれるのだろう。けれど、私ももう30歳で「児」と言われるような年齢ではない。

まだ、私が幼かった頃は、それなりの苦労があった。家庭は兄中心にまわっていたし、私もそれに必死についていった。「育て方が悪い」と言われる家族を守るため、私は成績も友人関係も完璧であり続けた。それはたぶん大変だったことなのだろう。

しかし、兄も私も、そして家族も歳を重ねてまた別の問題が生じてきた。幼い頃、自分を大切にできなかった自分が大人になり、親や兄を大切に思えていないことに気付いた。幼い頃にちゃんと子どもをしてこなかったせいだろう。

けれど、将来的には私が両親や兄の世話をしなくてはならない。まだ自分の子ども時代のことも整理できていないのに、いつの間にか身元引受人は自分になっている。そのことが今ひどく恐ろしい。

幼い「きょうだい児」についての支援も一層必要と感じるが、一方で大人になった「きょうだい」たちにもスポットを当てた支援ももっと展開されてほしいと願う。

※ご紹介している投稿エピソードは原文に準拠しています