氏家昴光(うじいえ・すばる)さん(仮名)は、大手家庭用品メーカーの研究者。同期で事務職の奥さんとは社内結婚で、10歳の娘さんがいます。知的で物静かな印象の氏家さんですが、「滅茶苦茶バブリーな家庭で育った」そうです。

ご両親や2歳下の弟さんは、入って来るお金はきれいに使い切るタイプ。お父様が存命中はそれでも問題なかったのですが、亡くなった後に贅沢癖の抜けないお母様がたちまち経済危機に陥りました。

しかし、資産が枯渇していてもお母様や弟さんの頭の中に「節約」という概念はないらしく、皆が納得する解決策はなかなか出て来ません。一方で、氏家さんによるお母様の生活費の立て替え分だけが膨らんでいき、これから娘さんの“お受験”を控える氏家さんは頭を抱えています。

〈氏家昴光さんプロフィール〉
東京都在住
36歳
男性
メーカー研究職
同じ会社の事務職の妻、小学生の長女と3人暮らし
金融資産1200万円

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私の父は中堅企業で役員を務めていたこともあり、それなりの収入があって、しかも、入って来た分はきれいに使い切るタイプでした。

仕事が終わった後は連日深夜まで飲みに出かけ、休日はお決まりの接待ゴルフ。父のサラリーマン人生はほぼ日本の高度成長期と重なりますが、銀座の高級店での飲み代や名門ゴルフクラブでのプレー代が全て会社の経費で落ちていたとはとても思えず、恐らくは相当自腹を切っていたはずです。

父はプライベートでも「安全性が高い」と気に入っていたドイツの高級車を乗り回し、年に1度は家族で海外旅行にも出かけていました。宿泊はいつもフォーシーズンズやリッツ・カールトンといった高級ホテルでした。

母は父よりひと回り年下で、水商売の出身です。出会った頃はいわゆる不倫の関係で、父が離婚した後に籍を入れたそうです。父と共働きの前妻との間には子供がなかったこともあり、あっさり別れたと聞きました。

その後結婚した時、父は45歳、母は33歳になっていました。翌年に私が、その2年後に弟の流星が生まれています。