コロナで父が亡くなり……
母も金遣いは荒い方で、家事はそっちのけで遊び仲間と観劇や旅行に出かけ、しょっちゅうデパートで服や装飾品を買い込んでいたのを覚えています。
そんな両親ですから、父が完全リタイアした後も暮らしぶりはあまり変わりませんでした。退職直後には夫婦で1カ月以上かけて地中海やアフリカをめぐる豪華客船クルーズに出かけていましたし、毎月のように歌舞伎やオペラ、相撲など金のかかる娯楽を楽しんでいました。
とはいえ、父は6000万円以上の退職一時金を手にし、公的年金と企業年金、民間保険会社の個人年金を合わせて一番多かった時期には50万円を超える年金収入があったといいますから、十分やっていけたのだと思います。
それに、私や弟もその“おこぼれ”に預かっていたので、偉そうなことは言えません。
私は贈与税の特例を使ってマイホームの購入資金を援助してもらいましたし、母に似て浪費癖のある弟は両親の家に行っては小遣いをせびっていたようです。父から、弟が作った借金500万円を肩代わりしたという話を聞かされたこともあります。
しかし、「いつまでもあると思うな親と金」と言われる通り、その父も4年前にあっという間に亡くなりました。新型コロナウイルス感染症に罹患し、糖尿の持病があった父の体は耐えられなかったようです。
コロナ感染症は当時、感染症法の「2類相当」でしたから、それは大変でした。隔離病棟に入った父とはほとんど面会もかなわず、亡くなった後の葬儀も大きく規制されました。