父が亡くなってもエネルギッシュな母

父が突然理不尽な亡くなり方をしたこともあり母の精神状態が心配でしたが、母は意外にこたえていないようでした。年の差や男女の寿命差があり、父が先に逝ってしまうことはある程度覚悟していたのかもしれません。

そして、コロナ禍が明けた後も、母は相変わらずの生活を送っていました。母を見ていると、女性の70歳は仕事に追われる30代の私などより、よほどエネルギッシュです。妻も「お義母さんはあの調子なら100歳まで生きそう」と笑っていました。

それでも、父に先立たれた母が孤独をかこって引き籠もったりするよりは、元気でお金を使っていてくれた方がずっといいと考えていました。

そんな自分の考えが甘かったと気付かされたのが、半年ほど前、弟から「話したいことがある」と言われた時です。最初は、弟に金の無心をされるのではないかと警戒しました。しかし、話はどうやら母に関することのようでした。

お互い仕事が忙しく、昨年の正月に両親のマンションで食事をした時以来会っていなかったので、昔よく父に連れていかれた西麻布の小料理屋で会うことにしました。

そして、その日、私は弟から衝撃的な事実を告げられたのです。

●伴侶に先立たれ、個人年金や企業年金が支払われなくなった後も浪費をやめない氏家さんの母親は、相続した2000万の貯預金もほとんど使い切りのっぴきならない状況に。どうすればよいか頭を悩ます氏家さんに弟が告げたのは、あまりにも身勝手な提案でした。後編「このままでは一生アリとキリギリスのアリ」困窮しても浪費を続ける母に身勝手な弟を持つ30代男性の苦悩で詳説します。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。