加速する人口減少と超高齢社会の到来
総務省統計局が2025年4月14日に公表した「人口推計」によると、2024年(令和6年)10月1日時点の日本の総人口は1億2380万2000人となり、1年間で55万人減少したことが明らかになりました。これは14年連続の人口減少であり、その減少幅は年々拡大しています。
特に注目すべきは、65歳以上人口が総人口の29.3%を占め、過去最高を更新したことです。さらに、75歳以上人口も2077万7000人と急増し、総人口の16.8%に達しました。一方で、15歳未満人口は1383万人と過去最低を記録し、少子高齢化の加速が鮮明になっています。
この深刻な人口減少と高齢化の波は、特に介護現場において、サービスの質の維持、人材確保、そして経営の安定といった多岐にわたる問題を深刻化させています。また2025年には団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になることから、介護ニーズが飛躍的に増大することも予測されています。
現場から見える超高齢社会の実態
神奈川県横浜市で介護施設を経営する山田健一さん(45歳)。地域に根差した介護を提供したいという強い思いから、10年前に「やまだの家」を開業しました。
施設運営の中で、山田さんは人口動態の変化を痛感しているといいます。
「地域の方々が安心して老後を過ごせるように、アットホームな雰囲気づくりを大切にしています。開業当初は定員40名でスタートしましたが、今では80名まで増やしても待機者が絶えない状況です」と山田さんは話します。
特に最近では、入居者の高齢化が顕著になってきているようです。
「以前は70代後半の方が中心でしたが、今では85歳以上の方が6割を超えています。『老老介護』の限界で入居される方も増えていますね」
「先日も88歳のお母様の介護をされてきた68歳の息子さんが相談に来られました。『自分も腰を悪くして、もう限界です』と。その方は、憔悴しきった様子で、時折声を詰まらせていました。このような相談は月に3、4件はありますね」
さらに、介護する側の高齢化に伴う新たな課題も浮き彫りになってきています。
「最近特に増えているのが、認知症の親を介護している60代の子供さんからの相談です。『自分も物忘れが増えてきて、薬の管理が不安になってきた』といった切実な声をよく耳にします」