厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)」によれば、令和7年3月の有効求人倍率は1.26倍で、前の月よりも0.02ポイント増加しました。この数値は、仕事を探している人1人に対して1.26件の求人があることを意味しており、企業が人材を確保する難しさが現れています。
前編では、企業側から見た人手不足の実態と採用戦略の変化について見てきました。後編では、求職者の視点から労働市場の現状を探ります。
●前編:【「大手企業との競争に勝てない」慢性的な人手不足に苦悩…中小企業が痛感する人材確保の厳しい現実【厚労省最新データ】】
「スキルアップの機会が欲しい」若手求職者の声
大学卒業後、営業職として3年間働いた後に退職した田中さん(仮名・26歳)は、現在IT業界への転職を目指して就職活動中です。前職では大手製造業の法人営業として活躍していました。
「前職では営業のスキルは身につきましたが、将来性を考えるとIT業界で働きたいと思うようになりました。でも、経験がないため希望職種に応募すらできません」
田中さんが気になっているのは、プログラミングやシステム開発の実務経験がないことです。
「私と同じように、IT業界を目指す友人も増えています。みんな、テクノロジーの進化に取り残されることへの不安を感じているんです」
実際、彼の周囲でも、従来の営業職やバックオフィス業務からIT関連職種へのキャリアチェンジを目指す若手が増えているといいます。
田中さんは目下の課題としてITスキルの習得を挙げています。
「オンラインのプログラミングスクールに通い始めて3カ月経ちました。基本的な言語は少しずつ理解できるようになってきましたが、実務でどこまで通用するのか不安です」と心境を明かします。