<前編のあらすじ>
家計が破たんしてしまうことを心配して面談に来た妻。
夫の洋介さんは不動産会社の営業の仕事をしていました。結果が出ると評価される一方で、拘束時間は長く、上司からのパワハラのような叱咤激励を受けることもあり、ストレスの多い環境でした。洋介さんは必死に仕事をしてきましたが、35歳になったある日、洋介さんの心はとうとう限界を迎えます。
精神科を受診するとうつ病であることが分かり、休職して傷病手当金をもらうことになりました。その後も症状は改善せず会社を退職。再就職のめどが立たず、現在の収入は傷病手当金のみです。
妻はそれまで週5日のパートで働いていましたが、現在は夫の看病と子育てのため短時間勤務。洋介さんが再就職できないまま傷病手当金が終了してしまうと、家計は一気に赤字状態に陥ります。しかし、「正社員じゃないと家族を支えることができない」と洋介さんは障害者雇用に対して二の足を踏むのでした。
●前編:【「まさかわが家が…」大黒柱の夫が激務でうつ病発症、退職へ。子持ち夫婦が陥った「無収入の恐怖」】
障害厚生年金と障害者雇用で生活再建を目指す
夫である洋介さんの傷病手当金が終了したら、その後の収入がなくなってしまう。
そのことに大きな不安を抱えているため、まずは収入の見通しを立ててみることが重要だと筆者は考えました。そこで筆者は障害年金について説明をすることにしました。
ただし、説明をするためにはもう少し情報が必要になるため、妻からさらに聞き取りをすることにしました。
妻によると、洋介さんはうつ病で初めて病院を受診した時は会社員の時(厚生年金に加入中の時)。洋介さんは大学を卒業してからうつ病で初めて病院を受診するまではずっと会社員だったとのことなので、その間に公的年金の未納はないことが分かりました。
よって、洋介さんは障害厚生年金を請求することになります。