初診日から1年6カ月たつと障害年金を請求できる
「日常生活の困難さを主治医に伝え、その内容をふまえて診断書を作成してもらうよう依頼してみます。ただし、困難さを口頭で伝えるのは大変なので、文書にまとめるとよいでしょう。それぞれの項目についてご主人の具体的なエピソードを教えていただければ私の方で文書にまとめます。試しに今ここで少しやってみましょうか」
筆者はそう言い、妻に質問をしてみました。
「適切な食事とは、例えばご主人が自分で栄養バランスを考えた食事を準備できるかどうか? 食欲があるかどうか? などです。実際どのような状況でしょうか」
「夫は自分で食事の準備をすることはできていません。食事の用意や後片付けはすべて私(妻)がやっています。食事量は調子のよい時でも成人男性の半分以下くらいだと思います。本当に食欲が無い時は、おかゆを茶わんに少しだけだったりすることもあります」
「なるほど、かなり心配な状態ですね……」
筆者は聞き取った内容をメモしたあと、妻に言いました。
「今お話しいただいたような具体的なエピソードを、さらに身辺の清潔保持から社会性まで文書にまとめていけば大丈夫です。エピソードは多ければ多いほど望ましいです。私が質問をしますので、それにお答えいただくだけで構いません」
「分かりました。それくらいならできそうです。文書ができ次第、今すぐにでも障害厚生年金の請求をしていただくことは可能でしょうか?」
「残念ながら障害年金(障害厚生年金および障害基礎年金)は、原則、初診日から1年6カ月経過した時から請求することになっています。ご主人の場合、初診から1年6カ月は経過していませんので、請求はもう少し先になってしまいます。時期が来たらすみやかに請求できるように私がお手伝いすることもできます。ご安心ください」
「夫は今すぐに障害厚生年金を請求することはできないのですね。請求するまでご協力いただけるということでとても心強いです。ぜひお願いいたします」
妻はほっとした表情でそう言いました。