障害厚生年金で収入を確保する
妻からの聞き取りをふまえ、筆者は次のような説明をしました。
「傷病手当金が終了した後は、障害厚生年金で収入を確保することも検討してみましょう。障害厚生年金には3級から1級まであり、1級が最も障害状態が重く年金額も多くなっています」
「仮に障害厚生年金が認められたとしたら、夫はいくらもらえるのでしょうか?」
「障害厚生年金は、ご主人の今までの給与や賞与をベースにして計算するので正確な金額を出すことは難しいです。ですが、大まかな金額であれば試算することができます。それでもよろしいでしょうか」
「はい。それで構いません」
妻はそう言ってうなずきました。
1級はかなり状態が重くないと該当しないので、3級または2級に該当した場合で概算することにしました。
■障害厚生年金の3級に該当した場合
障害厚生年金 5万1000円
※最低保障額で試算
※障害厚生年金の3級では障害年金生活者支援給付金は支給されません
■障害厚生年金の2級に該当した場合
障害厚生年金 4万5600円(※新卒から初診までの平均年収を400万円として概算)
配偶者加給年金 1万9566円
障害基礎年金 6万8000円
子の加算 約1万9566円
障害年金生活者支援給付金 5310円
合計 約15万8000円
※障害厚生年金の2級に該当すると、障害基礎年金も併せて支給されます
さらに条件を満たせば、配偶者加給年金、子の加算、障害年金生活者支援給付金が支給されます
※上記の金額はいずれも2024年度のもので月額換算
それぞれの年金額を確認したあと、妻は言いました。
「3級と2級ではかなり金額に差があるのですね。2級だとすごく助かります。実際のところ、夫は障害厚生年金の何級になりそうでしょうか?」
「障害厚生年金の何級に該当するかは、主に医師の作成する診断書で判断されます。具体的には、診断書の裏面にある『日常生活能力の判定』がどの程度重いのかによります。日常生活能力は7つの項目があり、具体的には次の通りです」
①適切な食事
②身辺の清潔保持
③金銭管理と買い物
④通院と服薬
⑤他人との意思伝達及び対人関係
⑥身辺の安全保持及び危機対応
⑦社会性
すると妻は眉根を寄せました。
「何だか難しそうですね……。一体、何をどうすればよいのでしょうか?」