35歳のバースデー
それから3カ月がたち、瑠璃は大貴と付き合うようになって初めての誕生日を迎えた。
盛大に祝おうと大貴は言ってくれたが、平日だったこともあり、家で大貴の作ったロールキャベツと、有名パティスリーのケーキを食べた。プレゼントは、最近なくして困っていた新品のBluetoothイヤホンだった。
「実はね、もう1つプレゼントあるんだ」
そう言って、大貴は手のひらに収まるほどの小さな箱を取り出した。
「これ、相談なしに買っちゃったんだけど怒らないでね」
「何それ」
大貴は冗談めかして言いながら、ゆっくりと箱を開ける。箱の中にはダイヤモンドが光るリングが収まっていた。
「瑠璃さん、俺と結婚してください」
「はい、喜んで」
ふたつ返事でうなずいた瑠璃を見て、大貴はうれしそうに笑っていた。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。