きっかけは62歳の時のこと

このように年金のことをしっかり考えるようになったきっかけは2年前のこと。当時も晴奈さんは同じ会社に勤務していました。

それまでは働いているからとあまり年金について深く考えていませんでしたが、62歳を迎え、1年以上厚生年金に加入していたことから特別支給の老齢厚生年金(特老厚)の請求ができるようになりました。

請求のために年金事務所に行くと、窓口で「62歳から特老厚、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金が受けられます」と案内を受けました。さらに、「晴奈さんは年収も多くなく、65歳になっても厚生年金は145月で約12年、つまり20年未満ですので、老齢基礎年金に振替加算・年間2万円も加算されますね」と細かい説明を受けます。

晴奈さんは細かいところの理解があまりできていませんでしたが、年金の合計としては62歳から65歳までは年間30万円、65歳からは年間110万円と案内されました。夫の年金収入も含めると、夫婦2人でこれなら何とか生活できると思うようになりました。

帰宅すると届いていた「ねんきん定期便」

年金事務所での手続きを終えて帰宅した晴奈さん。晴奈さん宛に「ねんきん定期便」が届いていました。62歳の誕生月であったことから届くことになっていたものです。

年金の手続きを済ませたばかりですが、「ちょうど年金の相談をしたタイミングだし、これも見てみよう」と「ねんきん定期便」の中身も確認してみました。そこには62歳からの特老厚、65歳からの老齢基礎年金と老齢厚生年金、それぞれの見込額が表示されています。

しかし、「あれ?」と、定期便の見込額はさっき年金事務所でもらった見込額より少ないことに気が付きます。62歳からの年金は年間29万円台、65歳からの年金も年間97万円となっていたのです。「なんで違うんだろう」「一体どっちが正しいの?」と困惑します。

年金額の違いに不安を抱いた晴奈さん。なぜ、金額が違っていたのか、気になってすぐにまた年金事務所に聞きに行くことになりました。

そこで得られた回答とはどのようなものだったのでしょうか。そして、これを機に晴奈さんの年金生活への意識はどのように変わるのでしょうか。

●正式な年金額を把握するために知っておくべきこととは? 後編【ねんきん定期便の見込額が想定より少ないのはなぜ? 60代女性が知らなかった年金額の「正しい確認方法」】で詳説します。

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