年金を本来の支給開始年齢より前に受給できる繰上げ制度。繰上げ受給をすると年金が減額されることになり、その減額が生涯続くことになります。その減額率にばかり注目がされますが、繰上げの注意点はたくさんあります。

年金について情報収集する主婦

麻耶さん(仮名・60歳)は、結婚前に数年会社に勤めただけで、結婚後は専業主婦を長く続けていました。社会人となった子どもたちが家を出てからは、夫の雅史さん(仮名・63歳)と二人暮らしです。子育ての負担もなくなった今、家事のない時間帯は、テレビの情報番組や週刊誌を見て過ごし、近所の主婦仲間と井戸端会議をする日々でした。

そんななかで、麻耶さんも60歳に近づく前から年金制度や自分の受け取れる年金のことが気になっていました。

麻耶さんは本来64歳から65歳まで特別支給の老齢厚生年金(特老厚)が受けられ、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金が受けられそうです。夫の雅史さんは大学卒業以来ずっと会社員をしていて、現在も嘱託勤務で引き続き勤務、年金は65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金を受けられることになっています。