「繰上げしやすくなったから」と年金を繰上げ

年金のことが気になる中、日々仕入れた情報から年金制度がどうなるか不安になってきた麻耶さん。「少子高齢化は進むし、本当に年金制度は大丈夫なのかな、安心できるのかな……」と思い続けています。

そんな中で、麻耶さんは年金の繰上げ受給について知ることになります。調べてみると、「2022年4月から繰上げの減額率が0.5%から0.4%に」「2022年4月改正で繰上げがしやすくなった」といったことが書かれており、主婦仲間の間でも繰上げ受給がたびたび話題に上っています。

そして、麻耶さんは「繰上げをしてもあまり減額されなくなったのね」「あまり減らされなくなったのなら、今のうちに繰上げして受け取ったほうがよさそう」「元気なうちから年金が好きに使えるのはいいな」と考えました。

働いている限り年金はいらないという雅史さんは、そんな麻耶さんに対し、「いい加減なことや表面的なことしか言わないメディアもあるし、噂にすぎないこともあるからよく確認したほうがいいぞ」と言いますが、結局、麻耶さんは60歳になってすぐ年金の繰上げ受給をすることにしました。

麻耶さんは年金事務所へ行き、職員から繰上げの注意点を説明されます。「繰上げの減額率は1月0.4%です」「繰上げした場合と繰上げしなかった場合を比較して生涯の受給累計額で逆転する時期は80歳10カ月、つまりこれより長生きすれば繰上げしなかったほうが生涯の累計額で多くなる見込みです」と言われました。麻耶さんの場合、64歳から65歳までの特老厚はなくなり、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金が同時に繰り上がる仕組みとなっています。

これについて麻耶さんは「減額率が0.4%になったおかげで80歳10カ月で逆転するのか。週刊誌にもそんなことが書いてた。なら大丈夫かな」「そんなに長生きはしないはずだし、仮に多少長生きしてもこれくらいなら許容できるかな」と考えました。

職員は繰上げ受給のその他の注意点を説明しますが、麻耶さんは特に気にせず、繰上げ請求をしました。