<前編のあらすじ>

55歳の玲子さん(仮名)はパートタイマーで、まもなく65歳になる夫の孝徳さん(仮名)の扶養に入っています。孝徳さんは定年後も再雇用で、70歳まで働く予定です。

玲子さんは扶養の範囲内で働き続けることを希望していましたが、年金事務所で孝徳さんの年金手続きを行った際、なんと年金については扶養に入れないことが判明します。

それだけではなく100万円の年金保険料が発生することを知らされ、「えぇ! 100万円も? どうしてそんなに? 私はパート勤務で、年収も多くないのに……」と驚きを隠せません。

●前編:【「保険料なんて払いたくない」夫の扶養に入り続けた50代女性が驚愕…見落としていた“年金面”のデメリット】

玲子さんが年金で第3号被保険者になれない理由とは?

会社に勤める孝徳さんに扶養されていた玲子さんはこれまで国民年金の第3号被保険者でした。そして、玲子さんは孝徳さんが65歳以降引き続き会社に勤めるというので、引き続きパート勤務を考えていました。しかし、健康保険の扶養に入れても、年金については扶養に入れません。

専業主婦・パート勤務などで、国民年金第3号被保険者というのは「国民年金第2号被保険者の被扶養配偶者」となります。会社員などは厚生年金被保険者=国民年金第2号被保険者となります。しかし、厚生年金は最大70歳になるまで加入できるなか、65歳で老齢年金の受給権がある人は、65歳から70歳になるまで会社に勤めて厚生年金被保険者となっても国民年金としては第2号被保険者になりません。

つまり、老齢年金の受給もできる孝徳さんが65歳以降厚生年金被保険者となっても、第2号被保険者でないため、玲子さんも第3号被保険者になれないことになります。

そして、国民年金は60歳になるまでは加入義務があるため、第3号被保険者だった人は第1号被保険者に切り替わり、60歳になるまで国民年金保険料を納付することになります。

孝徳さんが65歳の時点で玲子さんは55歳2カ月。55歳2カ月から60歳の前月まで58カ月分、毎月国民年金保険料を納付します。国民年金保険料は2024年度が月額1万6980円、2025年度は1万7510円となります。58カ月分を合計するとその額が100万円程度になりそうでした。

第3号被保険者の時は玲子さん自身で保険料を払わなくても納付扱いとされました。しかし、第1号被保険者になってからの玲子さんは国民年金保険料を納付することで初めて納付扱いとされるので、この58カ月分をすべて未納にすると将来の老齢基礎年金が年間9万8600円少なくなります。