障害年金の受け取りは“等級”の問題で断念
人工肛門造設により、慶太郎さんは今までと生活が一変し、働くことでも、日常生活を送ることでも制約が生じ、障害者手帳の交付を受けました。障害者手帳の等級は4級です。
そんな中、友人から「手帳があるのなら障害年金も受けられるんじゃないか?」と助言されました。
しかし、インターネットで調べてみると、「障害厚生年金は障害等級1級から3級が対象」「障害基礎年金は障害等級1級から2級が対象」という情報が出てきました。それを見た慶太郎さんは、「障害厚生年金でも3級以上の障害じゃないとダメみたいだ。自分は4級の障害だし無理か……」と受給を諦めました。
繰上げ受給の相談に行って分かった「うれしい誤算」
それから、慶太郎さんは60歳の今に至るまで、4年間通院を続け、がんの再発も転移もなく過ごしています。また、就労時間に制約を受けながらなんとか仕事も続けています。
しかし、老後の生活を考えると、これまでの病院でかかった医療費の支出や収入減少により家計が少し苦しくなると感じました。そのため、「自分の老齢年金は65歳からみたいだけど、60歳になれば繰上げで受け取ることもできるようだし、老齢年金を繰上げよう」と考え、年金事務所に行きました。
すぐにでも繰上げをするつもりでいた慶太郎さん。その手続きについて職員に尋ねる際に、「4年前に大腸がんの手術をして人工肛門で障害者手帳も取っています。それで収入も少ないので繰上げしたいんですよ」と伝えます。
すると、職員は表情を変え、「大腸がんの初診日はいつになりますか」「初診はどちらの病院になりますか」「それから、人工肛門を入れたのはいつになりますか」と次々に質問をしてきます。
慶太郎さんは何故このようなことを聞いてくるのだろうと不思議に思いましたが、職員から「障害年金の対象になりえますので、老齢年金の繰上げ請求はせず、障害年金としての請求を早めにしていただいたほうがよろしいかと思います」と説明を受けました。
かつて調べた情報で「障害年金は受けられない」と断念して、この日も老齢年金の繰上げの相談をしに来たのに、障害年金が受けられるというまさかの回答。一体どういうことでしょうか?
●慶太郎さんは過去に調べた情報で、障害年金は受けられないと諦めていました。それにもかかわらず、障害年金を請求できるようになったのはなぜなのでしょうか。後編【「5年過ぎてたらマズかった」大腸がんを克服した男性が60歳で “年100万円超”の年金を受け取れた驚きの理由】で詳説します。
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