<前編のあらすじ>

共働き夫婦の由里さん(65歳)は、26年間勤務した社会福祉法人を近々退職することになりました。そこで今後の年金のことを相談しようと、既に年金生活を送っていた夫の英一郎さん(70歳)を連れて年金事務所へ相談に行くことにします。

年金事務所では、窓口の相談員が年金について丁寧に説明してくれました。由里さんには61歳から受け取れる「特別支給の老齢厚生年金」があったことが発覚。65歳の今からでもさかのぼって受け取れると知った由里さんはほっと胸をなでおろしました。

しかし、ここで相談員からもう1つ衝撃の新事実が伝えられます。なんと英一郎さんが受給していた加給年金4年分を返金する必要があると言うのです。その額はなんと150万円以上。英一郎さんは、突然返金を要求されたことに困惑して今後の生活に不安を募らせました。

●前編:【「まだ働いてるから」60代女性が年金手続きを放置…受給を考え始めて分かった「衝撃の新事実」】

なぜ、年金を返せと言われたのか

相談員の説明は要するに、英一郎さんが受給していた加給年金に年額39~40万円程度の過払いが4年分生じていたので、それを返してほしいという話だったのです。

由里さんは、61歳から65歳までは特別支給の老齢厚生年金を受けられるようになり、65歳からは老齢基礎年金と老齢厚生年金を受けられるようになります。夫婦共働きだったため、由里さんも英一郎さんも厚生年金に20年以上加入しています。年上の英一郎さんは先に65歳を迎え、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取っていて、加給年金も加算されるようになっています。

この加給年金については、もし、由里さんの厚生年金加入期間が20年未満であれば、英一郎さんが65歳になってから由里さんの65歳まで加算されることになっています。つまり、「夫婦の年の差分の期間が加算」されることになっています。

しかし、由里さんには61歳時点で厚生年金加入期間が20年以上ありました。年金事務所の窓口での説明によると、その場合は由里さんの年金の支給開始年齢である61歳までしか加算されないとのこと。共働きだったため、加算期間が4年短くなるということになります。