夫と話し合って分かった「意外な事実」

自宅で夫に内海さんの提案を持ち出すと、夫は気まずそうな顔をして次のような話を聞かせてくれました。

実は義弟の病院経営はうまくいっておらず、義妹が度々義両親に泣きついていたこと。怜花ちゃんの進学の際にも、義両親や夫を交えた親族会議をして義両親が学費を払うと決めたこと。親族会議の結果は夫も容認していたようです。

「俺も8年かかって大学を卒業したし、学生時代は海外を放浪したりして親には世話になりっ放しだった。この家や土地だって元はと言えば親のものだしね。他の相続人より多めにお金をもらったりしていることを『特別受益』と言うらしいけど、そういう意味では、妹の特別受益を主張できる立場じゃないんだよ」

同時に、今私が義両親の面倒を見ていることを「俺としても本当にありがたいと思ってるし、母親もああいう性格だから面と向かってお前には言わないだろうけれど『涼子さんは本当によくやってくれている。自分の娘よりよっぽど頼りになる』といつも言っている」と言ってくれたことで、私自身、救われたような気持ちになりました。

夫は息子の学費についてもこんな打ち明け話をしてくれました。

「父親は『怜花ばかり援助するわけにはいかないだろ』と出そうとしたけど、俺が『止めてくれ』って言ったんだ。俺が自分で払えるからって。でも、それが怜花に対する劣等感みたいなものの原因になっているとしたら、その内海さんとやらが言うように生前贈与をしてもらってもいいのかもしれないな」