衝撃の鑑定結果
鑑定結果をまた郵便局留めで受け取ったのは、それから10日後のことだった。
さすがに家で封筒を開けるわけにはいかず、いや、そもそも封を開ける決心すらつかず、日が暮れるまで街を徘徊(はいかい)し続けた佳則は、けっきょくマンションの駐輪場に隠れて結果を確認することにした。
きっと最愛の家族を疑った自分を恥じることになるだろう。佳則はそんな恥ずかしく罪深い、けれど望ましい未来を思い描いて封筒を開けた。
薄っぺらい1枚の紙は、美波が佳則の娘であることを否定する文章が、冷たく完結に記されていた。
理解ができず、何度も読んだ。しかし書かれた文字は変わらない。
暑くもないのに全身が汗にぬれていた。照明で明るいはずの駐輪場は急激に彩度を失い、視界の端から暗闇にむしばまれていった。
手をついて突っ伏した視線の先に、アリの群がった蛾の死骸が落ちていた。
●衝撃の「事実」を知ってしまった佳則。奈々子と、そして美波との関係はどうなっていくのか……? 後編【「あれ、誰の子だよ?」娘と血がつながっていない事を知った男性がとった「驚きの行動」】にて、詳細をお届けします。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。