「自サバ女」の末路
それから1カ月の時がたった。
「いやぁ、あの顔はほんと絶品でしたよね?」
典子はまだ飲み会での花林のことを思い出して笑っていた。
千帆と典子はいつものように食堂で昼ご飯を食べている。しかしその近くに花林の姿はない。
「でも、まさか辞めるとは思わなかったね」
「しょうがないですよ。期待されてうちに来たのに、全く仕事をしないんですから」
作田にフラれた花林は、そのストレスを周りにぶつけ、部署の雰囲気を悪くし続けたことで、部長からおしかりを受けたのだ。そこで部長にも言い返し、大げんかに発展。そのまま辞めてやると叫んで、会社を出て行ってしまったのだ。その後は内々で、退職手続きを済ませたとのこと。退職後の花林がどうなったかは誰も知らない。
「人事も、もうちょっとしっかり判断してほしいですよね~」
典子の愚痴に千帆は大きく息をはく。
「ほんとよ。迷惑かぶるのはこっちなんだから」
「それより、今度、千帆さんの恋人に会わせてくださいよ」
千帆と典子はお互いの恋人の愚痴で盛り上がる。もうしばらくしたら、きっと花林の存在なんて忘れるのだろうなと千帆は思った。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。