義母との新しい関係の始まり
「そうだ、あのカニはまだ食べてないだろ?」
「え、ええ。味噌とかもあって痛風には良くないと思ったから……」
「だったらそれは明日の晩に食べようか」
「いいですね。私もカニ、大好きです」
達之の提案に里美が賛同する。
「ねえ、美月さん。あなた、カニ捌けるかしら?」
盛り上がる食卓の陰で、加代がこっそりと美月に訊ねてくる。
「ええ、一応はできますけど……」
「そう、よかった。大きくて立派なカニだし、力がいるでしょう。最近、年のせいか難しくってね。かぼちゃを切るのだって大変なのよ。美月さんも手伝ってくれるかしら……?」
加代はつい数時間前の美月と同じように、気まずそうな顔をしていた。だから美月は「もちろんです」と笑顔で答えた。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
