父の“異変”と、見つかった2000万円の資産
佐伯美咲さん(50歳・仮名)は、地方都市で夫と大学生の息子と3人暮らしをしています。
車で30分ほどのところに、80歳の父・佐伯隆さん(仮名)が一人で暮らしていました。母が亡くなってから10年。料理も掃除も大きな不自由はなく、毎月の年金と少しの貯蓄で慎ましく生活しています。
しかし、ある日、美咲さんが帰省すると、父の言動に明らかな異変があったのです。
冷蔵庫には賞味期限の切れた総菜が大量に並び、同じ物が何個も買い込まれ、さらに「昨日、母さんと買い物に行った」と言うのです。母はすでに亡くなっているのに……。
美咲さんは胸騒ぎを覚え、病院へ連れていくと「中等度の認知症」と診断されたのでした。
父を一人暮らしのまま放置することは難しく、美咲さん夫婦は話し合い、父を介護施設へ入居させることにしました。
しかし、すぐに入れるグループホームの費用は月20万円程度です。父の年金は15万円程度、預金はわずか200万円ほどしかありません。諸費用も払うと心もとない金額です。
そこで、父に聞いてみると、銀行で投資信託等を買っていることが分かり、銀行の担当者に来てもらって確認しました。
NISA制度がスタートした頃から買っていたらしく、資産は大きく成長し、評価額は2000万円を超えるほどになっていました。
「これだけあれば安心……」
そう思った美咲さんでしたが、“本当の問題”はここからでした。
●突然、父の介護に直面した美咲さん。金銭面の問題は解決したと思いきや、新たな問題が浮上します。後編【家族の危機を救うはずの老後資産2000万円が“まさかの凍結”…娘が知っておくべきだった「備えの一手」とは】で詳しく紹介します。
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