<前編のあらすじ>
50代の主婦・佐藤美智子さん(仮名)は、子どもが独立し、夫と静かな生活を送っていました。
そんなある日、かつての同僚と再会し、老後の不安や健康の話をきっかけにネットワークビジネス(MLM)を紹介されます。「年金だけでは暮らせない」「今動けば権利収入が手に入る」という言葉に心を動かされ、希望を抱いて始めた美智子さん。
しかし、活動にのめり込むうちに家族や友人との関係は少しずつ崩れ、気づけば孤立していました。それでも、美智子さんはMLMの仲間たちに励まされ、「自分は間違っていない」と信じて活動を続けていったのです。
●前編: 老後の不安からネットワークビジネスにハマった50代女性…家族や友人よりも“希望の言葉”にすがった代償
「夢」を語る前にすべきこと
しかし、現実は厳しいものです。権利収入といっても、収入は月にわずか3万円程度。商品を買ってくれたのは親戚や職場の知人数人だけ。ビジネスに参加したのは、仲の良かったママ友2人だけ。
気づけば、パート先でも腫れ物扱いされ、声をかけてくれる人もいなくなっていました。
ネットワークビジネス(MLM)は、法律上認められたれっきとしたビジネスであり、詐欺やネズミ講とは異なります。中には詐欺まがいな商材や不適切な勧誘を行う業者も存在しますが、有名な会社の製品は一定の品質基準を満たしており、実際に役立つ商品も多いものです。
しかし、MLMが広く批判されるのは、勧誘の手法に問題があるケースが多いためです。
「将来の不安」
「年金は崩壊する」
「会社に依存せず自由な人生を」
といった言葉で不安を煽り、自分達の考え方が唯一の正解のような空気を作ってしまうと、家族や友人との距離が生まれやすくなります。