100円ショップの認印で押し切られてしまう
話を聞くと、「実印? そんな仰々しいことしなくてもいいよ。俺、印鑑登録してないし、これでいい?」と杉田が取り出したのは、なんと100円ショップで売られている認印だったという。
加藤は迷ったが杉田の言葉に気圧され、最終的に「そこまで言うなら……」と提案を受け入れてしまった。
私は契約書を作り直すよう強く勧めたが「まぁ多分大丈夫だから」と加藤は楽観的。不安そうだったのに……と思うが、杉田は一度腹をくくると良くも悪くも楽観的になる男だ。私も言えること、やれることには限界があるので、もう一度口うるさく契約書を作り直すように言ってその日は別れた。
返済の途中で始まった“違和感”
ところが、あろうことか加藤は契約書を作り直すことなく杉田にお金を貸してしまった。
杉田は最初の数カ月は月2万円ずつ返済していたようで、加藤も「やっぱり誠実なんだよ、杉田は」と安心していた。
だが、半年を過ぎたあたりから、杉田と連絡がつかなくなることが増えた。最初はLINEの既読はつくが返信がないことから始まり、次第に電話をしても折り返しすらなくなった。直接お店まで行って杉田を捕まえた加藤だったが、杉田はこう言った。
「あの契約書に押した印鑑は俺の“正式な印”じゃないし。100均の認印ごときで偉そうにすんな」
その瞬間、加藤は“目の前が真っ暗になる”という言葉を文字通り体験することとなった。
●杉田さんの冷酷な言葉に絶望した加藤さん。果たして100円ショップの認印で押した契約書は本当に無効なのでしょうか? 後編【「あの時実印で押させていたら…」200万円と友情を同時に失った男性が、2年後に語った“後悔の言葉”】ではトラブルの結末をお伝えします。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。