3級の障害厚生年金を受給できることに
しかし、毅さんの場合は、20歳になる1987年9月から1990年3月までの31カ月は大学生(昼間部)でした。大学生(昼間部)で国民年金に加入義務があるのは1991年4月以降となり、1991年3月までの大学生(昼間部)の期間は加入義務がありません。そのため、障害年金の保険料納付要件の判定にあたって、加入義務のない期間で未加入の期間は除外して考えます。大学生であったことの証明が必要なため、職員は毅さんに在籍証明書の発行を依頼したのです。
昼間部の大学生期間であれば、3分の2の計算上、分母から31月分を除外するため、毅さんは290月/413月で判定されることになります。その結果、納付期間と免除期間で合計3分の2以上となって必要な納付要件を満たすことになります。
毅さんは「学生時代は加入義務がなかったのですね。なら、払っていなくても不思議じゃないな」と安心しました。その後、取り寄せた在籍証明書で昼間部の大学生だったことが職員も確認でき、納付要件を満たせることがはっきりします。そして毅さんは障害年金の請求に必要な他の書類の案内も受けて手続きを進め、無事に3級の障害厚生年金を受給できることになりました。その額は年間62万円程度になりました。
納付要件を満たすためには日頃からの納付が大事
障害年金を受給するためには、原則として初診日がいつであるか特定したうえで、保険料納付要件を満たす必要があります。毅さんの場合は学生時代の国民年金に加入義務がない期間も含めて計算した結果、その要件を満たせて受給につながりましたが、中には納付要件を満たせないケースもあります。
障害年金は初診日を基準に支給の有無や受給できる額が決まります。障害年金の原因となる病気・ケガの初診日はある日突然やってきます。その際に納付要件が満たせないことがないよう、第1号被保険者の場合は日頃から保険料は納め、もし収入が少なく納付できない場合は免除申請を早めに行っておきましょう。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。