<前編のあらすじ>

毅さん(仮名、58歳)は、大学卒業後に厚生年金に加入していましたが、20年前に独立して個人事業主となり国民年金第1号被保険者となっていました。2024年4月に法人化して再び厚生年金に加入した矢先の10月、急に倒れてしまい救急搬送されます。心臓の病気が原因でペースメーカーを装着することになった毅さんは、障害年金を受給できるという話を聞き、年金事務所に相談に行きます。

年金事務所の窓口では職員から「ペースメーカーを装着すると障害等級3級相当になりそうです」と説明されますが、「未納が多いしダメかもしれない」と不安に思う毅さん。すると職員から大学時代の在籍証明書を取り寄せるよう案内され、疑問を抱きます。

●前編:【「大学時代の在籍証明書を取り寄せて」ペースメーカー装着で障害年金請求を検討するも、58歳男性が受けた意外すぎる案内】 

障害年金受給の壁 保険料納付要件とは

障害年金を受給するための保険料納付要件は、初診日の前日において、①初診日の前々月までの国民年金被保険者期間のうち保険料の納付と免除の期間で3分の2以上あること、②初診日の前々月までの直近1年間の国民年金被保険者期間で未納期間がないこと(※初診日時点で65歳未満であることが条件で、2036年3月31日までの特例措置)、いずれかとなります。

毅さんは初診日の6カ月前に厚生年金に加入しましたが、その直前の国民年金第1号被保険者期間に未納期間があったことで②を満たせません。一方、①について、現在20歳以上60歳未満の人は国民年金に加入義務があるとされています。毅さんが20歳になったのは1987年9月で、この時点から初診日の前々月である2024年8月までの期間を数えると444月となります。毅さんは自営業になってから保険料未納期間がありました。納付期間と免除期間で合計290月でした。このままだと290月/444月で、3分の2の納付要件は満たせません。